預金口座など夫婦の財産形成

  夫婦で築いた財産はまとめて一つの口座へ、というご家庭は少なくないでしょう。しかし名義をどちらか一方に集中させると、後々困ったことになってしまうかもしれません。夫婦で築いていく財産を一つの口座にまとめておくと、後々どんな不都合が生じるかご存知ですか?今回は預金口座に関する話を中心に、夫婦の財産形成について考えていきたいと思います。

■ 夫婦のお金は二人のもの、じゃない!
 「我が家でせっせと貯めていっているお金は一つの口座で管理。この方がうちで今いくら貯まっているのか一目でわかるし、何かと便利!」「これは我が家のお金だから夫婦二人のもの。口座名義?どうせ二人のものなんだから別にどっちにしておいてもいいんじゃない?」と思ったら大間違い。法的には、結婚しても個人の財産と共有財産はきっちり区別されます。その口座の財産はあくまでも口座名義人のものとなります。つまり、「これは私のもの!」とはっきり主張できるのは自分名義の財産だけなのです。

■ もしも離婚なんてことになったら
 結婚後に夫婦で築いた財産はその貢献度に応じて分与されます。しかしながら、妻が専業主婦だったりするとどうしても立場は弱くなります。例えば、専業主婦の妻がたとえどんなに節約に励み、家計をやりくりしてがんばって貯めたお金だとしても、口座名義が夫だとしたら妻の取り分はわずか、ということも充分ありえるのです。もしも離婚なんてことになったら、「我が家の財産管理の口座名義を夫にしておいたばっかりに」と専業主婦の方は後悔することになるかもしれません。

■ 預金口座凍結?!  
 口座名義人が死亡すると、金融機関はその口座を凍結します。従って、たとえ配偶者といえどもお金を引き出すことはできなくなります。凍結された預金を引き出すためには、遺産分割協議書を相続人全員の印鑑証明を添えて金融機関に提出しなければなりません。この手続きをする時は遺産相続について正式に決まっている状態ということ。逆に言えば、相続がこじれたらかなりの期間を要するということです。もし亡くなった方名義の口座にお金を集中させていたとしたら、葬儀代はおろか、生活費にも支障がでてくるという事態にもなりかねません。このように、一方の名義の口座にお金を片寄らせておくと、万が一の時に困ったことになってしまいます。

■ 口座名義人の財産と認められない場合もある
 口座の財産はあくまでも口座名義人のものと前述しましたが、実はそうならない場合もあります。
 例えば夫が知らないうちに妻名義で口座を作っていて、夫が亡くなった時にそれが発覚したなんてケース、聞いたことありますよね。この口座の預金は妻のものとなるのでしょうか?答えはノーです。名義にかかわらず、お金の出所が故人と明らかなこのような場合は故人の相続財産とみなされます。ですから、たとえ妻名義の口座であっても妻のものにはならないのです。

■ 上手な自分名義の財産づくり
 では夫婦それぞれの財産をつくるには、口座管理をどのようにすればいいのでしょうか。以下に、妻が専業主婦の場合と共働きの場合であげておきますので参考にしてみてください。

【妻が専業主婦の場合】
 夫の給料が振り込まれてくる預金口座の通帳やキャッシュカードは妻が管理。夫にはこづかいを渡し、妻には特にこづかいというものはないけれど、生活費の中から適当に使う、というのがありがちなパターンではないでしょうか。でもこれでは妻名義の財産はいつまでたってもつくれません。それではどうすればいいのか?
 妻自身もこづかいの枠をきっちり決めるようにしましょう。そしてこづかいや、やりくりで残ったお金の一部を妻名義の口座に積み立てていきましょう。

【共働きの場合】
 家計費は夫の収入でやりくりして、妻の収入は全部貯蓄しているというご家庭も案外多いのではないでしょうか。しかしこの場合の貯蓄というのは夫婦で協力して貯めているのと同じことですよね?それなのに妻がすべて自分名義の口座で貯蓄をしてしまうと夫名義の財産がちっともつくれません。
 この場合は、一定額を夫の口座に渡すなど色々工夫をして、夫婦それぞれがきちんと財産形成できるようにしましょう。あるいは、夫婦で自分の稼ぎの中から家計費を出し合い、残ったお金はそれぞれの口座で管理、という方法に変えてみるのもいいでしょう。

 ただ、いずれの場合も気をつけていただきたいのは贈与税のことです。夫婦間であっても、1年間に110万円を超えるお金のやりとりには贈与税がかかってしまう可能性がでてきます。
 例えば、夫の口座から妻の口座へ一度に500万円のお金を移動させた場合、110万円を超えた390万円に対し、53万円もの贈与税がもらった側である妻にかかります。
 贈与税というのはとても税率の高い税金です。うっかりすると、せっかく貯めたお金を大きく目減りさせてしまうことになりかねませんので注意しましょう。

TOPへ戻る

inserted by FC2 system